ふかまりゆく秋に思う
秋もいつもの間にか深まりつつある。
気づかないうちに夏のあわただしさを過ぎて、静かな秋を感じていると思ったら厳し
さの肌身で感じる冬になっているという季節感に身を置く。
父も在宅から病院と老人保健施設を経験して1年半で特別養護老人ホームに入所でき
た。
過ぎてしまえば、「そうだったな。あんなこともあったな。たいへんだったな。」と
も思うけれど、本人も私たちも住み慣れた自分の家で終末期を過ごせたらよかったの
にと思うしかないことばかりだ。
私が以前働いていた社会福祉法人も今は不正の闇の底にあり、その問題は次々と出て
きて深刻なものとなっている。
法人の運営管理責任者たちが罰せられて責任を問われていくのは当然だけれど、その
時間経過の中で、迷惑や犠牲になってきたのは利用者であり、家族であり、まともだ
った職員やその家族であり、その地域社会である。
それらは顧みられないかもしれないが、それ相応の報いを受けてほしい気持ちである
。
中秋の名月から晩秋へと移ろう季節の中で、人も社会も、サービス制度も錦秋に輝く
実りの秋になるはずが、哀れを催す日々であっては悲しいことだ。
もっと美しく輝く個であり、社会であることを望むこの頃だ。